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有國明弘 黒人が生み出した「ストリートの知恵」――ヒップホップは何を映し出すか

有國明弘(大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程)
写真提供:photo AC

音楽史における「伝説の一日」

 日本時間2月14日に米国ロサンゼルス(LA)近郊で、ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の王座決定戦である第56回スーパーボウルが行われた。ここでは、ハーフタイムショーが毎年注目を集める。というのも、これまでに登場してきたのは、マイケル・ジャクソン、ジェームス・ブラウン、ポール・マッカートニー、マドンナ、レディー・ガガなどといった有名ミュージシャンだからだ。今回は、長い歴史の中で初めて、ヒップホップと呼ばれる音楽ジャンルのアーティストがメインアクトとなり、音楽史では「伝説の一日」と称されるほどの日となった。

 ではなぜ、今回のハーフタイムショーがそのような評価を得ているのか。56回の歴史の中でヒップホップが初めてメインアクトになったことだけが理由ではない。本稿ではその理由を、ヒップホップという音楽と社会との関係から繙いていきたい。

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