新書大賞2022大賞・小島庸平先生 講演動画を公開中!

落合陽一 真に面白いものは本とヒューマニティから生まれる

落合陽一(メディアアーティスト)

本来の教養とは

──本からネットへという情報環境の変化にともない、教養という言葉の意味も変わりつつあるように思います。落合さんが考える教養とは何でしょうか。


 評論家の山本七平の何かで読んだのですが、彼が面白い話を紹介していました。幕末に日米修好通商条約を結ぶ時、アメリカ総領事のハリスは「日本人は非常に優秀な民族であるのに、正義、真実のなんたるかを知らない」と言ったそうです。

 近代以前の日本では、正義や、もっと言えば「ヒューマニティ」といった抽象的な理念を考えなくても済んでいた。私はこのヒューマニティにあたるものが教養だと考えています。このことは現代の日本における教養の不在とも密接に結びついているだろうと思っています。現代でもヒューマニティについて考えることなしに、アートも、サイエンスも、デザインも、エンジニアリングも成立しない。


(続きは『中央公論』2023年1月号で)

中央公論 2023年1月号
電子版
オンライン書店
  • amazon
  • 楽天ブックス
  • 7net
  • 紀伊國屋
  • honto
落合陽一(メディアアーティスト)
◆落合陽一〔おちあいよういち〕
1987年東京都生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。筑波大学准教授、同大学デジタルネイチャー開発研究センターセンター長。ピクシーダストテクノロジーズ代表取締役。アート・テクノロジー分野の受賞多数。著書に『デジタルネイチャー』『忘れる読書』など。
1  2