王子・赤羽は元気も、新駅と地形に繁栄を左右された北区。賑わいのある場所が日暮里などに限られる荒川区の「輝く街・くすむ街」

牧野知弘の23区「街間格差」第9回
牧野知弘
飛鳥山公園の桜と都電「さくらトラム」(写真提供:Photo AC)
「家を買うなら五輪後」とまことしやかに語られた東京23区。蓋を開けてみれば、資材の値上がりや「おうち時間」増加などに伴い、むしろ首都圏では高騰したマンション・戸建ても多くみられ「期待通りにいかなかった」という読者も多いのでは。しかし不動産事情に詳しく、多くのベストセラーを持つ牧野知弘さんはコロナ前に刊行した著書『街間格差』で今の変化を鋭く予言していました。その牧野さんが23区、それぞれの区でこれから輝く街、くすむ街をピックアップ! 今回は「北区」「荒川区」です。

細長い北区

北区は山手線の田端駅の先あたりから北に延び、埼玉県との境を流れる荒川まで続く細長い区です。

山手線は田端から西に曲がり駒込方面に走っていますが、並走していた京浜東北線と東北本線は北西へと続きます。

王子を過ぎて赤羽に至ると新宿、池袋方面から埼京線が合流してきます。

赤羽からは京浜東北線、東北本線は隅田川の支流である新河岸川、荒川の二つの川を渡って川口へ、埼京線は東北上越新幹線と並走して新河岸川を渡り、北赤羽、浮間舟渡を経て荒川を渡り、戸田公園へと続きます。

北区のちょうど真ん中を都電荒川線が横断しています。

全長12・2㎞の荒川線は現在では「東京さくらトラム」と呼ばれ、新宿区早稲田から東池袋、大塚を通り、飛鳥山から王子に入ります。王子駅を過ぎてから線路は大きく曲がり、荒川車庫、町屋を経由して荒川区の三ノ輪橋へと繋がっています。

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