鈴木由美 「鎌倉殿の13人」ロスの方々に捧ぐ、北条氏をめぐるブックガイド
鈴木由美(中世史研究者)
西の要、六波羅探題
鎌倉幕府の執権・連署は北条氏のみが就任する職となった。承久の乱によって置かれた鎌倉幕府の西国統治機関である六波羅探題と、蒙古襲来の後に置かれた九州統治機関の鎮西(ちんぜい)探題もまた、北条氏のみが長官に就任した。なお、六波羅探題も鎮西探題も、組織名と長官の呼び方が同じであるのが少々ややこしい。
鎮西探題について一冊にまとめた一般向け書籍は残念ながらまだ刊行されていないが(後述する秋山哲雄『鎌倉幕府滅亡と北条氏一族』には詳しい記述がある)、六波羅探題に関する一般向け書籍は、森幸夫『六波羅探題』(吉川弘文館、2021年)と久保田和彦『六波羅探題研究の軌跡』(文学通信、2020年)がある。
承久の乱後に北条時房と泰時が京都の鴨川東岸、六波羅に居を定めたのが六波羅探題のはじまりであり、彼ら二人が初代となった。鎮西探題は長官一人制であったが六波羅探題は初代時房・泰時以来、鎌倉の執権・連署と同じく長官二人制で、時房の就いた職が六波羅南方、泰時のそれは六波羅北方と呼ばれた。
(続きは『中央公論』2023年2月号で)
鈴木由美(中世史研究者)
◆鈴木由美〔すずきゆみ〕
1976年東京都生まれ。99年帝京大学文学部史学科卒業。著書に『中先代の乱』、共著に『南朝研究の最前線』『将軍・執権・連署』など。
1976年東京都生まれ。99年帝京大学文学部史学科卒業。著書に『中先代の乱』、共著に『南朝研究の最前線』『将軍・執権・連署』など。