2020年、最高の盛り上がりを見せた中国のEC商戦。女性インフルエンサーが一日で904億円売り上げることもあるライブコマースは今や脱貧困・格差是正の救世主に

ますます活況を見せる中国のオンラインショッピングはどこへ向かうのか
西村友作

最高に活況を見せたEC商戦

中国には1年に2回、「618(リュウヤオバー)」と「双11(シュアンシーイー)」と呼ばれるEC商戦がある。

150757.jpg『数字中国 デジタル・チャイナ-コロナ後の「新経済」』(著:西村友作/中公新書ラクレ)

「618」は京東(JD.com)が、「双11」はアリババが仕掛けたイベントで、その名の通り、6月18日と11月11日に開催される。後者は、日本では「独身の日」セールとしてお馴染みだ。

これらの日は多くのECサイトがこぞって参加する。つまり、「618」では仕掛け人である京東以外にも、アリババやその他のECサイトも大々的にセールを打ち出す。

2020年の両イベントでは、新型コロナで蓄積されたフラストレーションがリベンジ消費という形で爆発したような活況ぶりであった。

「618」セール期間(6月1~18日)の取引総額は、アリババが運営する「天猫(ティエンマオ)Tmall」は6982億元(約11・9兆円)、京東は2692億元(約4・58兆円)に達し、いずれも過去最高を記録している。

「双11」のセール期間はこれまで11月11日の1日のみだったが、2020年は1~11日に拡大して開催された。

セール期間でのアリババの取引総額は4982億元(約8・47兆円)と、2019年から85・6%伸びた。京東も前年比32・8%増となる2715億元(約4・62兆円)に達し、2社合計の取引総額は前年比62・8%増の7697億元(約13・1兆円)となった。

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