鶴岡路人 ウクライナへの「支援疲れ」で問われるもの

鶴岡路人(慶應義塾大学准教授)
写真提供:photo AC
 戦争の長期化とイスラエル・ハマスの衝突で、ウクライナへの「支援疲れ」を指摘する声が増えている。そもそも、「支援疲れ」とは何なのか、そこでは何が問われているのか。国際安全保障を専門とする鶴岡路人・慶應義塾大学准教授が論じる。
(『中央公論』2024年1月号より抜粋)

 ウクライナがロシアによる全面侵攻に抵抗し続けることができるのは、主権と自由を守るというウクライナ国民の強い決意もさることながら、米欧諸国を中心とする国際社会の支援、なかでも武器供与によるところが大きい。端的にいって、外国からの支援がなければウクライナが抵抗を続けるのは難しい。それゆえ、この戦争を理解する際には外国からの支援が重要な鍵になる。ゼレンスキー大統領もそれが分かっているために、国家的課題として支援獲得に奔走してきたのである。

 以下では、ウクライナ支援を議論する際に必ずといってよいほど言及される「支援疲れ」を軸に、その構図を探ることにしたい。「支援疲れ」とは何なのか、そこでは何が問われているのか。

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