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定年前後はネット動画の独学より、大学の徹底活用がお得! 楠木新×櫻田大造

楠木 新(神戸松蔭女子学院大学教授)×櫻田大造(関西学院大学教授)

YouTubeが大学を揺るがす

楠木 先ほどご指摘されたインターネットの普及も、非常に面白いですね。高い入学金や授業料を払わなくてもYouTubeで学んでいけるとなれば、大学や専門学校はひょっとしたら足をすくわれてしまうかもしれません。

櫻田 学生を見ていても、与えられた課題に対して、必ず動画を見て調べてくるのです。

楠木 そう、学生はほとんどスマホ中心で情報収集をしています。だから私はレポートの課題にあえて「紙媒体を必ず引用すること」という条件を付けることもあります。「紙媒体」って言葉自体が死語かもしれません。(笑)

櫻田 それでは大学は動画以上の何ができるかというと、私は「フィードバック」だと思うのです。とりわけ学生はデマも含めてネットの情報を鵜呑みにしがちなので、「この情報はウィキペディアに載っているけれども、ここは間違っているよね」というように、メディアリテラシーを身につけさせる必要があります。

 また、私はゼミ生や講義の受講生にレポートや答案を必ず返すようにしています。そういったフィードバックが今後はますます重要です。

楠木 たとえば、専門学校や大学が簿記の知識を教えるだけでは太刀打ちできないくらい、YouTubeの番組はよく行き届いています。先ほどのフィードバックや議論を通して自分で考える場を充実させないと、生き残れない学校も出てきてしまいそうです。(後略)

 

(『中央公論』2021年9月号より抜粋)

楠木 新(神戸松蔭女子学院大学教授)×櫻田大造(関西学院大学教授)
◆楠木 新〔くすのきあらた〕
1954年神戸市生まれ。京都大学法学部卒業。生命保険会社に入社し、人事・労務関係を中心に、経営企画、支社長等を経験。2015年定年退職。「働く意味」をテーマに取材・執筆・講演活動に取り組む。18年より現職。『人事部は見ている。』『就活の勘違い』『会社に使われる人会社を使う人』『左遷論』『定年後』『定年準備』『定年後のお金』『定年後の居場所』など著書多数。

◆櫻田大造〔さくらだだいぞう〕
1961年長野県生まれ。シアトル大学教養学部政治学科および上智大学外国語学部卒業。トロント大学大学院政治学修士課程修了(MA)。博士(国際公共政策、大阪大学)。日本長期信用銀行行員、徳島大学助教授、トロント大学客員教授などを経て現職。『誰も知らなかった賢い国カナダ』『大学教員 採用・人事のカラクリ』『「定年後知的格差」時代の勉強法』など著書多数。
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