完成した街並みに続出する相続問題を前に「脱・高級住宅地」が求められる世田谷区。人気の東横線沿線でも活況が失われつつある街がちらほらな目黒区の「輝く街・くすむ街」

牧野知弘の23区「街間格差」第5回
牧野知弘

高級住宅地に迫る「相続問題」

「高級住宅地」と呼ばれてきたのは小田急線なら経堂、成城学園、東急田園都市線では駒沢大学、用賀あたりでしょうか。京王線沿線には高級住宅地と呼べるまでの「街」は無さそうですが、芦花公園や千歳烏山などは高い人気を誇ります。

いずれも完成された街並みを形成していますが、そうした場所でこれから起こるのが、大田区の項目でも触れた相続問題です。

おそらく相続の過程で広い敷地は分割され、駅から遠い物件を中心に流通性を失った物件が出回り、結果として地価が下がり、街並みも変わるでしょう。

そうした事情から、私は世田谷区の「高級住宅地」がこの先も価値を保ち続けることは、一部のエリアにおいて難しくなってくるのではないかと懸念しています。

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