ブランド住宅街に風情ある街並み。ターミナル駅以外<すべて>備えた文京区。高齢化と広がる「街間格差」の中、立ち位置が問われる板橋区の「輝く街・くすむ街」

牧野知弘の23区「街間格差」第8回
牧野知弘
文京区本駒込の六義園(写真提供:Photo AC)
「家を買うなら五輪後」とまことしやかに語られた東京23区。蓋を開けてみれば、資材の値上がりや「おうち時間」増加などに伴い、むしろ首都圏では高騰したマンション・戸建ても多くみられ「期待通りにいかなかった」という読者も多いのでは。しかし不動産事情に詳しく、多くのベストセラーを持つ牧野知弘さんはコロナ前に刊行した著書『街間格差』で今の変化を鋭く予言していました。その牧野さんが23区、それぞれの区でこれから輝く街、くすむ街をピックアップ! 今回は「文京区」「板橋区」です。

どこへ出かけるにも便利な文京区

文京区は千代田区、新宿区、豊島区、北区、台東区、荒川区と隣接しています。つまり東京、上野、池袋、新宿といった東京の主要ターミナルにアクセスが良いということです。

逆に言えば、区内には人が集まるターミナル駅は存在しないとも言えます。

私は現在、平日は文京区内の賃貸マンションに居を構えていますが、住んでみると、確かにどこへ出かけるにも便利な立地だと感じます。

都心に近いわりに学校や公園、寺院が多く緑も豊かです。また高層建物が少ないため空が広く感じます。

東京メトロ有楽町線、丸の内線、南北線、千代田線、都営三田線といった区内を通る鉄道は基本的に南北へ、千代田区との境目である神田川に向かって南下していきます。

神田川を超えた先にあるのが東京ドームのある飯田橋や水道橋、そして御茶ノ水駅です。都営大江戸線のみが東京ドームの北側を東西に抜け、そのまま御徒町へと向かいます。

鉄道が南北を中心に発達しているいっぽう、東西をつなぐのがバス網で、区内の移動においても不便を感じることは少ないです。

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