ブランド住宅街に風情ある街並み。ターミナル駅以外<すべて>備えた文京区。高齢化と広がる「街間格差」の中、立ち位置が問われる板橋区の「輝く街・くすむ街」

牧野知弘の23区「街間格差」第8回
牧野知弘

アクセスが至便になった成増

成増も期待できそうです。

東上線と有楽町線に加え、副都心線が乗り入れを始めたことにより、池袋から新宿、さらに渋谷から接続する東横線によって横浜方面へのアクセスが至便になりました。それに伴い、ここ数年で、新築のマンションも多く建てられています。

駅の北口にはロータリーが整備され、ACTという商業施設やアリエスという図書館や郵便局、ハローワークなどが入る複合施設があります。

南口は「スキップ村」という昔ながらの商店街があり、とても賑やか。ここはモスバーガー発祥の地としても知られています。

特徴を打ち出せていない赤塚、高齢化の進む高島平

一方、成増の手前となる赤塚には下赤塚駅と地下鉄赤塚駅があるものの、あまり特筆すべき点がありません。

駅の南側は練馬区田柄になりますが、整然とした街並みの続く田柄と比べまさに「街間格差」の様相を呈しています。

区立美術館や郷土資料館、さらに東京大仏などがあるのですが、いずれも駅からかなり遠く、「街」の特徴を打ち出せていない印象があります。

都営三田線では蓮根から西高島平までのエリアは、住民の高齢化が始まっています。

板橋区の調べでは、高島平の高齢化率が平成28年の時点で36.2%にまで高まっていますが、とりわけ分譲された団地においてその傾向が顕著です。

この地域も今後大量の相続が生じることが予想され、新しく移り住んだ外国人住人らとのコミュニケーションを通じて新しい「街」を築けるのか、それとも分譲エリアに空き住戸が増えて一部スラム化するのか、分水嶺にあると思われます。

4865986_s.jpg高島平団地(写真提供:Photo AC)

地理的な事情を考えると、高島平あたりだと都心に出るにはそれなりの時間がかかり、住職近接の傾向が強い今時の勤労者から敬遠されがちです。

今後は区内に働く場を増やして「街」の発展に繋げていくなど、東京での立ち位置がさらに問われることになりそうです。

牧野知弘
1959年生まれ。オラガ総研株式会社代表取締役。東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現:みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て、89年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し、ホテルリノベーション、経営企画、収益分析、コスト削減、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT(不動産投資信託)市場に上場。09年株式会社オフィス・牧野設立およびオラガHSC株式会社を設立、代表取締役に就任。15年オラガ総研株式会社設立、以降現職。著書に『街間格差』『なぜ、街の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題』『こんな街に「家」を買ってはいけない』『2040年全ビジネスモデル消滅』など。テレビ、新聞などメディア出演多数。
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