王子・赤羽は元気も、新駅と地形に繁栄を左右された北区。賑わいのある場所が日暮里などに限られる荒川区の「輝く街・くすむ街」

牧野知弘の23区「街間格差」第9回
牧野知弘

北区屈指のブランド住宅街・西ケ原、人気の赤羽

北区の行政の中心は王子です。王子の駅前は高台の飛鳥山公園です。この公園は江戸時代からお花見の名所として愛されてきました。

飛鳥山公園から本郷通りを渡れば、西ケ原という北区屈指のブランド住宅街が広がります。ここには旧古河庭園という古河財閥の庭園が残されています。

またゲーテの小径という不思議な通りがあります。ここには東京ゲーテ記念館という、ドイツの詩人ゲーテに関する研究家が開設した展示館があります。

西ケ原は、古い住宅街ですから住民の高齢化も進んでいますが、1991年に東京メトロ南北線の駅ができたことで交通利便性が格段に向上しました。駅近辺にあまり商店がないのが弱点ですが、南北線を使えば溜池山王や六本木方面へのアクセスは快適です。

赤羽はリクルート社の住みたい街ランキングの「穴場編」などで上位となるなど、近年人気の街となりました。

24752984_s.jpg赤羽一番街商店街(写真提供:Photo AC)

なんといっても駅前に広がる充実した商店街、驚くほど安い居酒屋など庶民に優しい「街」なのがその理由です。

赤羽から板橋区の本蓮沼へ向かった先にはオリンピック選手のトレーニング施設の一つ、国立スポーツ科学センターがあり、ここでトレーニングをした日本選手が数多く、さきの東京五輪では活躍しました。

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