ノーベル賞候補の睡眠学者が教える 眠りの新常識と科学的快眠術

柳沢正史(筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構長・教授)

三つの明確な睡眠不足の兆候

――自分の睡眠が不足しているかどうかは、どのあたりで判断できるのでしょうか。


 一番は、昼間に眠気を感じるかどうかですね。午後早い時間帯にちょっと眠くなるくらいでしたら、生理的にあり得るのですが、一度寝てしまいたいレベルの耐えがたい眠気に襲われるのでしたら、睡眠不足が強く疑われます。もちろん睡眠時無呼吸症候群のような、睡眠の質が極端に悪くなる疾患を持っている可能性もあるのですが、まずは睡眠不足を疑うべきですね。

 それから、いつでもどこでもすぐに寝付けるという人。昼間に眠ろうとして、8分以下で眠りに落ちることができる人は、基本的に睡眠が不足していると思ってください。

 あとは休日の睡眠時間ですね。朝起きる必要がない日に、平日よりも2時間以上長く眠っている人。平日と休日の睡眠時間の差が2時間以上あるのは、明らかに寝不足の兆候です。よく言われるのは、その3点ですね。

 ただ問題は、睡眠が足りていないことを示すこれらのシグナルが出ていても、特に気にしない人が日本人には多いということです。

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