入山章栄 「受け身の発想」から新たな技術と価値の創出へ
入山章栄(早稲田大学教授)
コロナ禍が収まったとしても、ウィズ、そしてアフター・コロナの時代はしばらく続きそうだ。日本の企業社会の展望、そこで働くわれわれの未来について、気鋭の経営学者、入山章栄教授に聞いた。
聞き手/構成:河野博子(ジャーナリスト)
日本の企業社会が変われるチャンス
─コロナ禍の前と後で、日本の企業社会は変わるのでしょうか。
企業がめざすべき方向は変わらないと思います。コロナ禍の前からビジネスの世界は変化の激しい、不確実性が高い時代に入っています。先が見えない。現状維持はあり得ません。企業は新しい価値を生み出して前に進むしかない。
これまで日本の企業社会がなかなか変われなかった理由は、危機感の欠如と経路依存性です。世の中の仕組み、会社の仕組み、いろんな要素が絡み合って変われない。例えば会社に多様な人材を増やしたくても、新卒一括採用、終身雇用制度、一律な評価制度があり難しい。しかし、コロナ禍でリモートワークが増え、長時間の会議や飲み会が減っています。時間で人を縛る方式から成果ベースへと人事管理を変える企業も出てきています。今、すべてを変えられるチャンスが来ているのです。
─企業人だけでなく自営業を含め、働く人たちに何が求められますか。
自分の意志、自分が何をしたいかをはっきりさせて、それに向かっていくことです。