入山章栄 「受け身の発想」から新たな技術と価値の創出へ
入山章栄(早稲田大学教授)
人と直接会う重要性は残る
─オンラインによる会議や打ち合わせが普及してきました。ビジネスで人と会う必要はなくなりますか。
少なくとも人と対面で会う意味や価値は確実に残ると思います。
理由の一つは「共感」です。ビジネスでは苦しいことも多いので、会社の方向性とかビジョンとか、お互いやるべきことに共感し合わないと前に進まないことがあります。対面にはデジタルでは届かない空気感みたいなものがあります。人間にわる五感のうち、デジタル上で使うのは、視覚と聴覚。リアルで人と会う場所では、残る嗅覚、触覚、味覚を含め、五感全体により、共感を生み出していけます。
もう一つの理由は「偶然性」です。
アメリカの企業、フェイスブックやアマゾンは、ニューヨークの一等地に広いオフィスを作ろうとしている。社員だけのために閉じられた空間というよりは、ベンチャー起業家、エンジニア、学生さんなどが出入りし、偶然出会える場ができそうです。デジタルの権化である両社が、対面で会うことの必要性を認識しているということです。