都民ファーストの会の夢と挫折、そしてこれから 岩崎大輔

岩崎大輔(ノンフィクションライター)

東京大改革はいずこに

 小池百合子・東京都知事が特別顧問を務める地域政党の「都民ファーストの会」(以下、都ファ)は精彩を欠いている。

 都ファは、一六年、知事に就任した小池氏が同年十月に設立した「希望の塾」を基盤とする。希望の塾は全国的な人気を博し、四八二七人が応募、二九〇二人が入塾、女性タレントやお笑い芸人、女子アナも受講した。そこから「夏の天王山」と称された翌一七年の都議選に候補者が選抜されていったのだ。

「結党時、都庁近くのホテルで旧来の政治家のイメージを覆すかのような美男美女が登壇し、薄緑色のジャケットを来た小池氏と共に、『私たちが、東京大改革をすすめていく。』と記されたプラカードを掲げた。半数は政治経験のない異例の人選で、何かが変わるかも、という雰囲気が都民・国民にも受け、大きく報じられた」(都政担当記者)

 五〇人の公認候補を立て、都議選に臨んだ。選挙期間中、小池知事が遊説先に姿を見せれば、黒山の人だかりとなった。前年(一六年)の都知事選ほどではないものの、歩道橋の上まで人で埋め尽くされるなど、小池知事の人気の高さが改めて示された。各地区で「小池チルドレン」は上位で当選を果たし、当時の最大会派であった自民党を打ち破り、追加公認を含めて五五議席を獲得。

 都ファは四年間で、政務活動費のネット公開、常任委員会のネット中継の実施、公用車一三台の削減、子どもの受動喫煙対策、二万人規模の雇用創出などいくつかの公約を成しとげるも、「東京大改革」の看板を鑑みれば物足りなさは否めまい。

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