黒井文太郎　ウクライナでも暗躍する民間軍事会社の実態

ロシアのPMCはどうか

　ロシアの場合、PMCは軍を補足する戦闘部隊として投入されることがほとんどで、前出のワグナーはその最大手だ。
　ワグナーがウクライナで戦う兵士として囚人をリクルートしているという話は、7月4日にラトビアを拠点とするネット・メディア「インポータント・ストーリーズ（iStories）」が初めに伝えた。同メディアによると、募集があったのはサンクトペテルブルクの刑務所だ。受刑者に対し、ウクライナで6ヵ月の兵役を務めれば、罪を帳消しにして釈放し、さらに報酬20万ルーブル（約47万円）を支給するとのことだった。このような超法規的措置が可能なのは当然、ロシア政府がバックにいるからである。

　さらに、ロシアの英字紙『モスクワ・タイムズ』（電子版7月11日付）は、囚人の権利を守る活動をしているNGO「グラグ・ネット」の情報として、募集はサンクトペテルブルク、トヴェリ、リャザン、スモレンスク、ロストフ、ヴォロネジ、リペツクなどのロシアの各都市の刑務所で行われたと伝えた。グラグ・ネットはその後も、関連の情報を発信し続けている。

　冒頭に紹介したイギリス国防省の声明は、これらの情報を受けてのことだ。

（続きは『中央公論』2022年9月号で）

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