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辻田真佐憲×三浦瑠麗 国のかたちに関わる歴史問題に対して、普遍的な立場に立てるのか

令和の国体
辻田真佐憲(近現代史研究者)×三浦瑠麗(国際政治学者)
左:三浦瑠麗 右:辻田真佐憲(提供:『ゲンロン13』)
昭和、平成と時代が移るごとに、「国のかたち」は変わっている。では、令和においてどうなるのか――近現代史研究者の辻田真佐憲さんと国際政治学者の三浦瑠麗さんが、その基となる「歴史観」について語り合う。

※本稿は、『ゲンロン13』(編集長:東浩紀)の一部を抜粋・再編集したものです

「国のかたち」はどうなるべきか

辻田真佐憲 「令和の国体とはなにか」というテーマで、国際政治学者の三浦瑠麗さんと議論したいと思います。話題としたいのは、「国のかたち」に深く関わる歴史観、天皇、自衛隊です。昭和においては戦争があったせいで、天皇と軍隊・自衛隊の評判は落ちていました。それが平成になると、両者に対する評価はグンと上がった。では令和においてどうなるのか。

 

いま言論人は二極化しています。一方には政権の太鼓持ちのような「保守」がたくさんいる。もう一方には、ツイッターで優等生的な揚げ足取りばかりしながらも、世の中には影響力を持てない「リベラル」がいる。しかし、本来の知識人は、政治家や官僚ともあるていどしっかりコミュニケーションができ、かつそこから一定の距離を取って話ができるひとであるべきです。三浦さんは、いまその役割を果たしていらっしゃる数少ない言論人のひとりであり、「国のかたち」といったむずかしい問題についてフラットに意見がうかがえる貴重な方だと思います。

 

三浦瑠麗 ありがとうございます。わたしは大学で研究を始めたころから、軍のシビリアン・コントロール(文民統制)を専門にしています。もともと関心を持っていたのは「いかに日本の現状が普遍的なシビリアン・コントロールから乖離しているか」ということでした。辻田さんの近刊の『防衛省の研究』(2021年)では、その理由が歴史的な経緯にもとづいて語られるのが新鮮でした。

 

辻田 一昔前には、歴史を語るときに「昭和史」という大きなジャンルがありました。故・半藤一利さんや保阪正康さんが、昭和の歴史を物語化して一般の市民につなぐ役割をされていた。昭和期には戦争が国民の悲劇として共有されており、歴史を知りたいという欲求が多くのひとにありました。しかし平成以降はそういう仕事があまりなされていない。昭和に敗戦によって果たされた歴史の共有が、いまや存在するのかも定かでない。これからは経済格差などで国民も分断されていき、日本人像そのものが解体していくのかもしれません。そのようななか、これからの「国のかたち」はどうなるべきかを議論できればと思います。

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