越 直美「自治体も企業も多様性なくして成長なし」
越 直美(三浦法律事務所弁護士)
女性の強いリーダーシップは欠点?
リーダーシップのあり方は人それぞれで、本来、性別は関係ありません。一方で、市長の仕事を通して、世の中にはまだまだ女性と男性にステレオタイプのイメージがあることも感じました。
というのも、2期目の選挙に出るとき、新聞には私の良い点として「実行力がある」「突破力がある」、悪い点として「トップダウン」「部下の話を聞かない」というふうに書かれました。ある市民の方から「男だったら、そんなに言われなかったのに」と言われたことがあります。それは、男性には決断力や実行力といった「強いリーダーシップ」を、女性には人の話を聞く受容性や協調性といった「優しさ」を期待する人が多い。その中で、世間の期待するステレオタイプに当てはまらないと、批判されやすいという意味でした。
私は「保育園を増やす。そのために行財政改革を行う」という公約を掲げて当選したので、任期中にそれらを実現するのは当たり前だと思っていました。それが選挙で選ばれた者としての市民との約束だからです。市長には執行権があり、議会で予算が承認されればトップダウンで政策を実行できる。その点に魅力を感じて市長になったので、改革をどんどん進めました。
それは私なりのやり方であって、男女は関係ありません。しかし女性であることで、その個性をマイナスに捉えられることがあったのかもしれません。