安倍政権の7年8カ月を支えた首相秘書官が今こそ明かす「強い官邸」の作り方、そして財務省へのエール

今井尚哉(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)×牧原 出(東京大学先端科学技術研究センター教授)

省庁再編と官邸主導

牧原 官邸主導の色が出始めたのは、いつ頃からだったと記憶されていますか?


今井 圧倒的に変わったのは橋本行革で、重要政策の方針を閣議で発議できる権限が首相に与えられたことですね。ただ、発議権はしばらく使われなかったんですよ。

 80年代は経済政策を巡っては大蔵対通産、外交交渉では外務対通産のバトルがあって、決着の場が官邸でした。だからどの省もエースを秘書官として送り込んでいたわけです。


(『中央公論』3月号では、この後も安倍政権内の「反財務省」勢力との綱引きや、第2次政権発足初日に安倍元首相が靖国参拝を試みた秘話、長期政権化に不可欠な「スケジュール」作成の実態などについて詳しく論じている。)


構成:柳瀬 徹

中央公論 2025年3月号
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今井尚哉(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)×牧原 出(東京大学先端科学技術研究センター教授)
◆今井尚哉〔いまいたかや〕
1958年新潟県生まれ。東京大学法学部卒業後、通商産業省(現経済産業省)入省。資源エネルギー庁次長などを経て2012年に第2次安倍晋三内閣で首相秘書官。19年から首相補佐官も兼務。20年退任。21年から現職。

◆牧原 出〔まきはらいづる〕
1967年愛知県生まれ。東京大学法学部卒業。博士(学術)。専門は行政学、政治史、オーラル・ヒストリー。『内閣政治と「大蔵省支配」』(サントリー学芸賞)、『田中耕太郎』(読売・吉野作造賞)など著書多数。
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