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2000年前の暮らしぶりに共感の声続々!?ロールプレイング形式で古代中国を楽しめる異色の新書が話題!(第1回『古代中国の24時間』)

あの本が売れてるワケ 若手営業社員が探ってみた

小説やマンガを楽しむ副読本として

では、本書はどういった人に読まれているのでしょうか。

読者層を調べていくと、本来の中公新書の客層と比べると若い世代にも比較的読まれていることが分かりました。中公新書の読者層には60代~70代が多いと言われていますが、本書は30代~50代の占める割合が高くなっていました。その理由について、三省堂書店神保町本店で新書を担当している中村さんはこう考察しています。

古代中国は昔から「三国志」などの物語で親しまれており、最近でも「キングダム」などが大ヒットし、若年層にも浸透しています。そのため、幅広い世代が自身の好きな作品をより楽しむための副読本として読まれているのではないかと思います。実際、私も面白く読み、「へぇー」と何回も唸ってしまいました。

古代中国を題材としたポピュラー・カルチャーの作品が昔から現在まで数多く親しまれてきたことで、どの世代でも興味を引くポイントがあることもヒットの一因になっているようです。本書を読めば、自分の好きな作品をより深く味わえますし、中学高校生にとっては漢文の世界をより理解することにも役立ちそうです。一冊は手元に置いておきたいと思わせる本として重宝されているようです。

kodaichugoku1.jpg(三省堂書店神保町本店にて撮影)

ロールプレイング形式という読者目線の書き方

また本書が幅広い読者に読まれている秘訣は、文章の書き方にもありました。

歴史の本というと、淡々とした記述と膨大な引用で専門外の人からするとやや手に取りづらいな...ということが少なくありません。しかし、本書は朝から夜までの24時間を時系列に沿って「ロールプレイング形式」で書くという試みを行っている点が非常にユニークです。参考に一箇所引用してみます。

城のはずれでは、ひとりの女性が「これであの人とももうお別れ。だれにもバレないうちでよかったのよ。」と泣きながら、カンザシを燃やしている。どうやら失恋をして、彼氏にもらったプレゼントを燃やしているらしい。ほかにも尾生という人物は、女子とデートの約束をし、橋のうえで待ち合わせをしたが、すっぽかされてしまった。(本文p199より)

まるで読む人がタイムスリップして出来事の目撃者になっているかのように書かれていて、当時の人々の息づかいが聞こえてきます。学術系の新書としては珍しい書き方ですが、新書を読み慣れていない読者にとってはハードルが下がり、手に取りやすくなっていると思います。膨大な史料を引用して書き上げるだけでも大変な作業なところ、さらに新書というメディアの読者を想定したやわらかい書きぶりにする。著者の柿沼先生の配慮もヒットの理由の一つになっていそうです。

以上、中公新書『古代中国の24時間』が売れてるワケについて探ってきました。次回の配信は2月25日(金)を予定しています。担当するのは同じく若手営業社員の岡田です。乞うご期待ください!

古代中国の24時間 秦漢時代の衣食住から性愛まで

柿沼陽平 著

始皇帝、項羽と劉邦、曹操ら英雄が活躍した古代の中国。二千年前の人々はどんな日常生活を送っていたのか。気鋭の中国史家が文献史料と出土資料をフル活用し、服装・食卓・住居から宴会・性愛・育児まで、古代中国の一日24時間を再現する。口臭にうるさく、女性たちはイケメンに熱狂、酒に溺れ、貪欲に性を愉しみ......。驚きに満ちながら、現代の我々ともどこか通じる古代人の姿を知れば、歴史がもっと愉しくなる。

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