今こそ伝えたい『ルワンダ中央銀行総裁日記』ヒットの本当の立役者 ~「やってみるか!」の連鎖が大きなうねりに~

あの本が売れてるワケ 若手営業社員が探ってみた

すべての始まりは「やってみるか!」

今振り返ると、ヒットまで一本道を進んでいったみたいに錯覚してしまいますが、最初の拡材を持って一軒一軒書店を回って展開をお願いしていた段階ではここまで話題になるとは本当に思っていませんでした。それは対応してくださった書店員さんも同じだったと思います。

通常、書店の仕入れは著者が同じであったり、テーマが似ていたりする類書の売上実績などを参考に行います。類書がよく売れていれば、安心して仕入れをすることが出来ます。一方で、『ルワンダ』のような出版業界で言う「仕掛け商品」は類書実績もなく、売れる保証もないため、仕入れるリスクが高い商品と言えます。限られたスペースをめぐって各社のヒット商品がしのぎを削るなか、売れない商品を置いていたら、書店としては大きなマイナスになります。また昨今は業界として運送コストを下げるために、返品を減らすことが求められており、リスクの高い仕入れは出来るだけ回避したいという心理が働くのが普通です。

にもかかわらず、私たちの無茶なお願いに対して「やってみるか!」と言ってくれるお店がいくつもありました。そして、それらの数店舗の展開写真を掲載した注文書を案内すると、「うちでもやってみるか!」と注文を出してくれる書店が続々と出てきました。山下書店羽田空港店も初期に展開してくれた書店の一つです。この店の新書担当の方は、手書きで書き直したパネル画像をSNSで投稿し、ヒットの一番の山を作ってくれました。

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