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『すごい植物最強図鑑』『コボちゃん傑作選』『ふたごパンダのこころコロコロ』...、「中公らしくない」本をつくり続ける担当編集者が、「らしさ」の謎を語る!!

あの本が売れてるワケ 若手営業社員が探ってみた

特別インタビュー:「らしくない本」に挑み続ける編集者にいろいろ聞いちゃおう!

―齊藤さん、よろしくお願いします!

齊藤:よろしくお願いします。

 

―中公に入ったのはどうしてだったんですか?

齊藤:大学のゼミの先生に「出版に興味ある?あったら近くでアルバイトを募集しているんだけど」と言われて、全くどこの会社とは知らずに行ったら中公で。だから全く『中央公論』も『婦人公論』も読んだことがなく...(笑)。もともと新書とか、文字ものを読まなくて、ファッション誌とか漫画とかを読んでいたから(笑)、とにかく縁あって。

 

―そうだったんですか!?それはすごい。
齊藤さんはいわゆる「中公らしくない」本を一手に引き受けてらっしゃると思うのですが、そのへんはいかがでしょうか。

齊藤:たしかに冊数的には多いかもね。『すごい植物最強図鑑』のときも『コボちゃん傑作選』のときも、社内では「うちはこういうの苦手だからね...」って意見はあって。でも、とにかく私が作りたかったから(笑)。

 

―それはかっこいい!!

齊藤:ありがとう。でも大変なこともあって、『まんがでわかる理科系の作文技術』のときは、いざやってみようとしたらすごいお金かかっちゃったり、「ほんとにこの内容でいいのか?」って何回も何回も考え直したりで、企画会議で承認を得るまでに結局2年くらいかかった。

 

―そんなに...。それは、参考にできるような前例が社内になかったから、ということでしょうか?

齊藤:なかったなかった。編プロさんと一緒にやったんだけど、「絵柄はこれでいいのか」「キャラクター設定の背景は大丈夫か」とか何度もやりとりしてね。でも、すごく勉強になった。

 

―「中公らしくない」と言われるようなことについてはどう考えてらっしゃいますか?

齊藤:実はあんまり「らしくない」とは思っていなくて。たとえば『マンガ日本の歴史』シリーズをやっていた頃は全社的に「漫画をやろう!」という雰囲気だったし、そのあとも「てのひら文庫」っていう絵本みたいな文庫?とかもやっていたりして、その時々のニーズに合わせていろんなことをやっているから、「らしさ」っていうのは...なんだろう。岡田さんはどう思う?

 

―やっぱり本誌とか中公新書のイメージでしょうか...、「かたくてまじめ!」というような。

齊藤:そうね。ずーっとつづいているものだからね。まあ「まんがでわかるシリーズ」も、『すごい植物最強図鑑』も中公新書の財産を二次的に利用しているし。それもありつつ、総合出版社なんだからなにをやってもいいはず。たとえば児童書とか漫画とか、業界的に伸びているものにも「乗っかったらいいんじゃないの?」とも思う。そして私は、作りたいものを作る(笑)。作りたくて、売れるものをね。

 

―力強いお言葉です!!ありがとうございます。
3月刊でとても好調な『コボちゃん傑作選』は、どういう思いで企画を提出されたのでしょうか?

齊藤:読売新聞朝刊で楽しく読んでる人は多いとはいえ、110巻を全部読む人はそこまでいないだろう、という読みで、そこから精選すれば売れるんじゃないか!と。

 

―読みがぴったり。すごいです。40周年の新聞記事が出た日は、営業の電話も鳴りっぱなしでした!読売新聞の担当者にも感謝ですね。それにしても、『傑作選』で改めて読むとコボちゃんってめちゃくちゃ面白いです!4コマだけど頭使うから、何回も楽しめるのもいいと思いました。

齊藤:ありがとう、よかった。私は110巻全部読むのに4か月かかったよ。(笑)

ある人に年末、「まだ読んでるんですよ...」ってぼやいたら、「齊藤さん一人で読んでるの!?」って言われたんだけどね、「そりゃ一人ですよ! ほかにいないんだから!!」って。

 

―1人で110巻!!孤軍奮闘だったのですね...。

齊藤:うちは「文字で見せる」ことが得意な人はいっぱいいて、たとえば新書編集部は本の「はじめに」でどう読者を掴むか、みたいなことがすごい。だから「中公で出したい!」と言ってくださる著者さんがいる。でも、「絵で見せる」ということはあんまりやっていないんじゃないかと思って、そういう人がいてもいいかなって。

 

―でもパイオニアだと、誰もアドバイスしてくれないんじゃないですか?

齊藤:そうなの。文字に詳しい人はいっぱいいても、絵の指摘は入らなくて...。たとえば『ふたごパンダのこころコロコロ』という絵本の時は、ほぼ文字がなかったから、部長に確認していただいた時も、「んー、少なくとも間違ってはいない」と言われて。(笑)

 

―絵への指摘って、たしかに難しそう。どこまでが個性なのかがわからなさそうな...。
中公の児童書にも、個性ってあるんでしょうか?

齊藤:『すごい植物最強図鑑』も、『コボちゃん傑作選』もそうだけど、ほかの似た本と比べて「整ってる」とはよく言われる。

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それは私個人の好みもあるけど、周りの人に意見を聞くとたいてい「整ってる方」を選んだりする。ありがたいことにどっちも売れてるからいいけど、もしかしたら児童書ならもっと「にぎやかで自由なレイアウト」の方がもっと売れたのかな?とか、そこはうちの特徴でもあり、伸びしろでもあると思う。

 

―では今後はそういうのにも挑戦されるのでしょうか?

齊藤:どうだろうね~、経験値が上がればそういう風にもつくれるのか...しかしそれはそれで、それこそ「中公らしさ」として続けていくのがいいのか。

でもこうやって私がいろいろチャレンジしていくことで、後輩も挑戦しやすくなればいいな、とは思ってる。ほんとはやりたいのに尻込みするとか、しかもその理由が「なんとなくうちっぽくない」だったらすごくもったいない。雰囲気じゃなくて、ちゃんと11個の企画に対して面白そう、売れそう、と言い合える空気にしたい。

―後輩を代表して、ありがとうございます!!!
本日はどうもありがとうございました。

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