GPT以後「知識の集積地」としてのネット空間は汚染されていく。私たちはいつまでWikipediaを信用できるのか
人工知能はウソをつく【第1回】
清水亮
いつまでネットを無条件に信用できるのか
そういう自分さえ、最近はGPTなしでは原稿を書くことさえ億劫になることがある。
専門的な知識さえもっていれば、GPTが出力した文章のどこまでが嘘でどこからが本当かはわかる。しかし専門外のこととなると自信はなくなる。
なおこの原稿は久しぶりにGPTを一切用いずに書いている。むしろ新鮮なくらいだ。
今、GPTが検索エンジンを参照できるようにしてもっと「正しい」ことをしゃべらせるようにしようという動きもある。しかし、検索エンジンの検索結果そのものが汚染されれば、もはやこれに対抗することはできなくなる。
ネットが無条件に信用できるのも、あと数年が限界かもしれない。いやそれとも、とっくに信用するに足りないものになっているのか?
連載を通じて、その行く末を見守っていきたい。
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清水亮
新潟県長岡市生まれ。1990年代よりプログラマーとしてゲーム業界、モバイル業界などで数社の立ち上げに関わる。現在も現役のプログラマーとして日夜AI開発に情熱を捧げている。『教養としてのプログラミング講座』(中央公論新社)など著書多数。