清水亮 世界中で争奪戦の<激レアアイテム>、330万円で買うか買わないか?日本のAI開発の光となる『四畳半のスーパーコンピューター』ここに爆誕す
人工知能はウソをつく【第6回】
清水亮

急速に進化を続ける人工知能。日本政府も戦略会議を立ち上げ、その活用や対策について議論を始めた。一方、プログラマーで起業家、そして人工知能の開発を専門とする清水亮氏は「信頼に値するAIを生み出せるかどうかで私たちの未来は変わる」と喝破する。その清水さんによる人工知能についての連載、今回のテーマは「四畳半のスーパーコンピュータ、爆誕」です。
- 激レアアイテム、買うか買わないか
- 大規模言語モデルを作るには大規模な半導体が必要
- AIの世界での1年は、通常の技術の10年
- で、これ何に使うの?
- 四畳半のスーパーコンピュータ、爆誕
激レアアイテム、買うか買わないか
「うーん、どうしようか...。やっぱり、買っちゃう?」
買っちゃえ!買っちゃえ! とはやし立てるコメントが踊る。
「清水さんがのびのびと研究してるところが見たいです」
「そんなこと言われちゃうとなあ。うーん、36回払いのローンならなんとか買えるか。むかし中古車を300万円のローンで買ったこともあるしなあ」
目の前にはバッタ屋のネットショップの画面。そこでは3年前のサーバー用GPUが売りに出されていた。新品。全世界的に在庫が払底している激レアアイテムである。
その価格、330万円。
「買いましょう! 買って欲しいなあ」
コメントで煽るのは毎朝一緒のメンバーたち。僕が運営する「教養としてのAI講座」の「デイリーAIニュース」を見ている常連たちだ。
デイリーAIニュースの運営は上手くいっているし、確かに300万円の部品を買う位の目処は立つ。これは必要経費だ...。
意を決して「購入ボタン」を押す。
「買っちゃったよー」
しかし3年前に発売された部品が、なぜこんなにも高価なのか?
それは、最新のGPUが今まったく手に入らないからである。