清水亮 世界中で争奪戦の<激レアアイテム>、330万円で買うか買わないか?日本のAI開発の光となる『四畳半のスーパーコンピューター』ここに爆誕す

人工知能はウソをつく【第6回】
清水亮

四畳半のスーパーコンピュータ、爆誕

GPUがどれほど貴重でも、それ単体ではただの石の塊だ。エンジンだけあっても車体がなければ車は動かないのである。

煽った責任もある。代理店にシャーシがないか聞いてみると「シャーシもないのに買ったんですか」と呆れられた。

ええい、ここは男気だ。シャーシくらい僕が買うか、と耐久性のあるサーバーのベアボーンを問い合わせて購入。もろもろコミコミ最近書いた二冊の本の印税が軽く吹き飛んでしまった

発注したはいい、次に困ったのは置き場所である。懇意にしているさくらインターネットさんに問い合わせたが、都内のデータセンターに場所を借りるは、コスト的にちょっと難しそうだった。

仕方ない。サーバー用に部屋を借りるか...

結局、Eさんと国内某所で物件を捜すことになり、契約。四畳半の居間と地下室。サーバー数台くらいなら電気もなんとかなるだろう。

393836722_903848437915864_178401105446059067_n.jpgかくして日本最高レベルの開発環境が四畳半の室内に爆誕した *防犯上の理由から場所は非公開(写真:著者)

「これで日本の若者が元気になるんだよな?」

Eさんがそう言った。そういう人だった。

これはいよいよ善きことに使わなくては成るまい。

かくして"四畳半のスーパーコンピュータ"が爆誕したのだった。

増補版 教養としてのプログラミング講座

清水亮

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清水亮
新潟県長岡市生まれ。1990年代よりプログラマーとしてゲーム業界、モバイル業界などで数社の立ち上げに関わる。現在も現役のプログラマーとして日夜AI開発に情熱を捧げている。『教養としてのプログラミング講座』(中央公論新社)など著書多数。
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