介護、教育費、不登校......世帯年収1000万円超でも尽きない不安――ルポ 中流から没落する人たち
小林美希(ジャーナリスト)
かつては中流だったはずの年収
2022年に労働政策研究・研修機構が発表した「暮らしと意識に関するNHK・JILPT共同調査」によれば、イメージする「中流の暮らし」を送るのに必要な年収は、有配偶者は「600万円以上」と「800万円以上」に回答が集中している。無配偶者では「400万円以上」と「600万円以上」に回答が集中した。イメージする「中流の暮らし」の条件として、「世帯主が正社員として働いている」(63.0%)、「持ち家に住んでいる」(61.2%)、「自家用車を持っている」(59.5%)が選択されている。
恵子さんは都内で持ち家に住み、自家用車もある。まさに中流の群に入るはずだが、物価高騰から、覚悟を決めた。
(『中央公論』5月号ではこの後も、突然の親の介護で困窮する人、子どもの不登校で職を辞さるをえなくなった人の例を取り上げ、かつて「1億総中流」と言われた日本の中流のリアルを活写する。)
小林美希(ジャーナリスト)
〔こばやしみき〕
1975年茨城県生まれ。株式新聞社、『週刊エコノミスト』編集部の記者を経て2007年からフリーランスに。13年に「『子供を産ませない社会』の構造とマタニティハラスメントに関する一連の報道」で貧困ジャーナリズム賞受賞。『ルポ看護の質』『ルポ保育格差』『ルポ中年フリーター』『年収443万円』など著書多数。
1975年茨城県生まれ。株式新聞社、『週刊エコノミスト』編集部の記者を経て2007年からフリーランスに。13年に「『子供を産ませない社会』の構造とマタニティハラスメントに関する一連の報道」で貧困ジャーナリズム賞受賞。『ルポ看護の質』『ルポ保育格差』『ルポ中年フリーター』『年収443万円』など著書多数。
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