高橋杉雄　戦争を防ぐために軍事の常識を知ってほしい

1. メディアにはできる限り協力
2. 本業は防衛省シンクタンクの公務員
3. 戦争の最中に「入門」書を出版
4. 「議論が足りない」とは？

メディアにはできる限り協力

──2022年2月のウクライナ戦争開戦以降、軍事や安全保障の専門家がニュース番組などに連日出演し、戦況や国際情勢を解説しています。中でも高橋さんは、多忙な公務の合間を縫って精力的に発信を続けており、ウクライナ国旗と同じ配色の青いシャツと黄色のネクタイ姿も話題です。街で声を掛けられることもあるのではないですか。

　はい。今日、タクシーに乗ったときもそうでした（笑）。「もしかして⁉」とか「頑張ってください」とか、好意的な反応が多いですが、油断できなくなりました。

──防衛研究所では高橋さんのほか、ロシア専門家で研究幹事の兵頭慎治さんら多数の研究者がメディアにたびたび登場しています。

　防衛研究所は「メディアから呼ばれる限りはできるだけ協力せよ」という方針です。大変ですけど、やりがいがあります。午後11時過ぎから日本テレビの「news zero」に出て、翌朝、テレビ朝日の「モーニングショー」に出演させていただくというような日程をこなしたこともありました。

　メディア出演で忙しく、自分で手を動かせなくなった仕事もありました。細かい話ですが、メディアに出る時間は「休暇」を取ったりして、勤務時間から外さなければいけない。絶えず勤務時間の変更が必要ですが、事務方がその手続きをやってくれています。同僚の支えなくして、これだけのメディア対応はできません。