江戸文化を支えたかつての賑わいを取り戻したい墨田区、川が分割した三つのエリアそれぞれ個性をみせる葛飾区の「輝く街・くすむ街」
牧野知弘の23区「街間格差」第11回
牧野知弘
「家を買うなら五輪後」とまことしやかに語られた東京23区。蓋を開けてみれば、資材の値上がりや「おうち時間」増加などに伴い、むしろ首都圏では高騰したマンション・戸建ても多くみられ「期待通りにいかなかった」という読者も多いのでは。しかし不動産事情に詳しく、多くのベストセラーを持つ牧野知弘さんはコロナ前に刊行した著書『街間格差』で今の変化を鋭く予言していました。その牧野さんが23区、それぞれの区でこれから輝く街、くすむ街をピックアップ! 今回は「墨田区」「葛飾区」です。
交通網充実の「墨田区」
墨田区は、足立区近辺で隣接して流れていた荒川と隅田川が大きく分岐した中州のような場所にあり、南で江東区に、東で江戸川区に接しています。
交通網はかなり充実しています。
区を東西に走る都営新宿線は南端で菊川近辺を通り、JR総武線が両国から錦糸町を通り、江東区の亀戸へと続いています。東武伊勢崎線は浅草からスカイツリーを抜け、曳舟へと続き、曳舟と亀戸を東武亀戸線が繋げています。さらに都営浅草線は吾妻橋を渡って押上に入り、京成押上線となって曳舟、八広を通って荒川を渡ります。
そして墨田区の利便性を圧倒的に向上させているのが東京メトロ半蔵門線です。
半蔵門線は水天宮前から隅田川を渡って清澄白河を過ぎてから北へ向かい、錦糸町から押上につながります。この路線は三越前や大手町、神保町、表参道、渋谷など東京の要所を横断していく「エリート路線」です。