江戸文化を支えたかつての賑わいを取り戻したい墨田区、川が分割した三つのエリアそれぞれ個性をみせる葛飾区の「輝く街・くすむ街」

牧野知弘の23区「街間格差」第11回
牧野知弘

バランスの取れた住み良い街・錦糸町

墨田区の「売り」として押上に建つスカイツリーがありますが、スカイツリーは国内外問わず、東京観光における定番となりました。足元の押上駅周辺は、東武伊勢崎線、都営浅草線に加え半蔵門線が開通したことで住宅地としてのポジションを大いに高めています。

このエリアで魅力のある「街」としては錦糸町が挙げられます。錦糸町は総武線快速の停車駅で、昔から路線主要駅の一つに数えられてきました。駅直結の商業施設錦糸町テルミナは飲食店、物販店など100以上の店舗が集積しています。

2347587_s.jpg錦糸町の東京楽天地(写真提供:PhotoAC)

駅南口の楽天地には商店や飲食店街が形成され、北口にはアルカタワーズのオフィスやホテル、商業施設、さらに北にはオリナスというオフィスビル街が整備されています。総武線に乗れば秋葉原や御茶ノ水へと繋がり、半蔵門線を使えば都心へのアクセスは快適そのもの。都心では珍しく自然環境も豊です。駅北口にある錦糸公園は関東大震災後の1928年開設の区立公園で面積は56,000㎡と東京ドームを上回る規模を誇ります。

このエリアは適度に「職」「住」「遊」といった要素がそろっており、垢抜けてはいないかもしれませんが、バランスの取れた住み良い「街」と言えるでしょう。

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