新装版という戦略  カバーを変えただけで購入につながるのか?

あの本が売れてるワケ 若手営業社員が探ってみた 連載第11回

新装版の成功とその要因

小社から出ている新装版の成功例と言えば、堂場瞬一の「刑事鳴沢了シリーズ」。文庫版は2004年から刊行されており、鳴沢了シリーズの新装版化が始まったのは2020年のこと。それまでのどちらかと言えば黒っぽいカバーから一転、白を基調としたシックな装いに様変わりしています。

シリーズ1作目の『雪虫』はもともと28万部のベストセラーでしたが、新装版にしてからさらに5万部版を重ねています。版を重ねた理由の一つに、新たに全国の書店員に解説を頼んだことがあると考えられます。解説を書いた書店員のいる店での展開はおのずと大きなものになり、それだけで人の目につく可能性が増えます。また、新たに「堂場瞬一史上売上NO.1警察小説」という文言が入った帯を巻いたことも、これまで堂場瞬一作品を読んでこなかった人が買いやすくなった要因の一つと言えそうです。

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