書籍を知る場としての"新聞広告"

若手社員の いま気になるあの本

『応仁の乱』で"中公らしくない"広告に挑戦

この記事を書くにあたって、これまでに小社が出した新聞広告の変遷をたどろうと思い、古い広告のバックナンバーを見ると、きちんと年代順に分類されている中で、なぜか『応仁の乱』とだけ書かれた一冊のファイルが。

まさか、室町時代に新聞広告があったわけもなく中を開くと、中公新書のベストセラー『応仁の乱』の広告がファイリングされていました。

 

パラパラとめくっていくと、気になる広告を発見。

一番大きく書かれた『応仁の乱』の横に「先の大戦、知らへんの?関西にいはるのに?」関西弁でキャッチが入れられており、タイトルを挟んで反対側には「気鋭の歴史学者が日本史上類のない『地味すぎる大乱』にわざわざ取り組んで話題沸騰!!」の文言が。さらに、吹き出しで「ズルズル11年」「スター不在」「勝者なし」「知名度はバツグンなだけにかえって残念」とあります。

とても目を引きますが、一方で中公新書っぽくない印象をもちます。

 

中公新書『応仁の乱』が発売になったのは、2016年の10月。それまでの広告は、本の内容紹介がメインの落ち着いた雰囲気が好まれていました。『応仁の乱』の発売当初の広告にも初めはどちらかと言えば固いイメージを持つような広告でしたが、「応仁の乱」の舞台が関西地方だったことから、関西地区限定の新聞広告を打とうという話が持ち上がり、先ほどの「先の大戦、知らへんの?」広告が作成されました。

その後、全国紙用の『地味すぎる大乱』の文言が入ったものが作成され、こちらも反響を呼びました。また、売上が増えてくるとさらに「1分間にだいたい1冊 売れております」といった要素も盛り込まれ、電車の中吊り広告やマンガ日本の歴史シリーズ「応仁の乱」の巻との併売を促すような広告も作成されました。

そして、これらの広告は書店店頭に置かれるパネルやPOPなどの拡材のデザイン等にも、活用されていきます。

 

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