鈴木洋仁 日本人が「世襲」を好む、意外な理由
鈴木洋仁(東洋大学グローバル・イノベーション学研究センター研究助手)
「世襲」を義務づけられた皇族
皇族は、憲法で保障された職業を選ぶ自由もないどころか、その第2条で「皇位は、世襲のもの」と定められている。「世襲」を生まれながらにして義務づけられ、運命づけられている。
小室眞子さんと圭さんの結婚について世論が沸騰したのは、皇族が「世襲」だからである。「世襲」だから結婚に自由はないという意見と、「世襲」であっても結婚は当人同士の自由だと考える人に分かれたからである。
なぜ、分かれたのだろうか?
読売新聞社の世論調査では53%が「よかったと思う」と、33%が「よかったと思わない」と、それぞれ答えている。時事通信社の調査では、「良かったと思う」が43・7%、「良かったと思わない」が26・5%、「どちらとも言えない・分からない」が29・8%だった。
どちらも祝福する人の割合が多い。
女性週刊誌やネット上では、小室圭さんに対する反感が多かった。結婚そのものを「良かったと思う」としても、人柄や人物については評価しない、そんな態度である。
注目したいのは、眞子さんの「世襲」である。皇族を選んだのではなく、さらには選ばされたのでも、選ばざるを得なかったわけでもない。生まれた時に決められていた。
「世襲」から逃れるために、結婚について真子さんが「自分たちの心を大切に守りながら生きていくために必要な選択」と述べたにちがいない。