岩田健太郎 合理的にリスクを取って豊かな日常生活を
岩田健太郎(神戸大学都市安全研究センター教授)
マスクをするのかしないのか
今年の5月に、新型コロナの感染法上の位置づけが「2類相当」から「5類」に変更になった。これを受けて多くの人がマスクをつけなくなったが、依然としてマスクをしている人たちもいる。
私は、マスクについては個人の判断に委ねてよいと思っている。長期の後遺症の問題は残っているが、ワクチンが普及したことで、総じて言えばコロナの人命リスクは、ワクチンがなかった当時に比べると激減しているから、マスクをしないという選択肢もあるだろう。いっぽうで、私自身はコロナに罹って死ぬとは思っていないが、コロナ感染のデメリットは依然大きいので、人混みではマスクをしている。もし自分がコロナに罹ったら、患者さんを診られなくなったり、自分のやりたいことができなくなったりすることが明らかだからだ。
5類になったからとか、みんながマスクをしていないからという〝雰囲気〟でマスクをやめるのではなく、自分自身のメリットとデメリットを考えて判断することが大切だ。