子どもの自殺対策には「ゲートキーパーの育成」を

森山花鈴(南山大学准教授)

自殺対策で鍵となるのは事前予防

 では、子どもの自殺を防ぐにはどうすればよいのか。

 子どもの自殺が増えるのが、夏休みなどの長期休業明け(大人は年度末の3月に多い)というのは最近よく知られるようになり、その時期に自殺予防に関する報道も増えるようになった。

 文部科学省も、2025年2月28日付で「児童生徒の自殺予防に係る取組について」を通知しており、その中で「長期休業期間中においても、全校(学年)登校日、部活動等の機会を捉えて児童生徒との面談の実施や、保護者への連絡、家庭訪問等により継続的に児童生徒の様子を確認すること」などを教員に対し求めている。

 社会的な関心が高まることは重要だが、子どもの自殺者数が増えるのが長期休業明けだからといって、その直前だけ自殺予防のための対策をすればよいというわけではない。

 自殺対策には3段階あると言われている。


(『中央公論』9月号では、この後も子どもの自殺対策の現状と課題を整理し、あるべき対策の方向性を論じている。)

森山花鈴(南山大学准教授)
〔もりやまかりん〕
1981年茨城県生まれ。筑波大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程修了。博士(政治学)。南山大学社会倫理研究所講師などを経て現職。著書に『自殺対策の政治学』がある。
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