岡邊 健 ゼロ年代以降の殺人を犯罪学から読み解く
岡邊 健(京都大学大学院教授)
被疑者と被害者の関係
次に殺人事件の質的な側面をみてみよう。以下の数値は、いずれも警察庁の統計による(未遂の事件を含み、犯罪不成立等が確認された「解決事件」は除く)。
まず図4の棒グラフは、被疑者と被害者の関係別にみた殺人検挙件数である。比較のため1990年以降の推移を図にした。90年代前半にもっとも多かったのは「面識あり」だったが、2000年前後に親族の事件数と面識ありの事件数が並び、00年代後半からは、明らかに親族の事件数が面識ありを上回るようになったことがわかる。
(続きは『中央公論』2022年12月号で)
岡邊 健(京都大学大学院教授)
◆岡邊 健〔おかべたけし〕
1975年生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士後期課程中退。博士(社会学)。科学警察研究所研究員などを経て現職。専門は犯罪社会学、教育社会学。著書に『現代日本の少年非行』、編著書に『犯罪・非行の社会学』『犯罪・非行からの離脱(デジスタンス)』、監訳書にティム・ニューバーン著『犯罪学』など。
1975年生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士後期課程中退。博士(社会学)。科学警察研究所研究員などを経て現職。専門は犯罪社会学、教育社会学。著書に『現代日本の少年非行』、編著書に『犯罪・非行の社会学』『犯罪・非行からの離脱(デジスタンス)』、監訳書にティム・ニューバーン著『犯罪学』など。