2020年10月号【編集長から】
★「私の願いを広げれば、今回の経験が伝統的な日本の世界観、現実を無常と見る感受性の復活に繋がってほしいと考える。無常感は国民の健全な思想であって間違っても感傷的な虚無主義ではない」。本誌七月号の特集「...
★「私の願いを広げれば、今回の経験が伝統的な日本の世界観、現実を無常と見る感受性の復活に繋がってほしいと考える。無常感は国民の健全な思想であって間違っても感傷的な虚無主義ではない」。本誌七月号の特集「...
★安倍晋三総理のインタビューで、橋本五郎さんと一緒に総理官邸に行き、生まれて初めて総理番記者に囲まれました。総理番は政治記者の登竜門です。一日中総理官邸に出入りする人にぶら下がり、話を聞き出すのが仕事...
国、都道府県、市町村。一番身近に感じるのはどれかと聞かれれば、個人的には「国」と答えます。首相や閣僚、国会議員、国の政策などを毎日テレビや新聞で目するためでしょうか。それに対し、地元自治体の首長や議...
<コロナの時代の公徳心> 大災害後に人々の連帯感が高まり、善意にあふれた理想郷が一時的に現出する。米国の作家レベッカ・ソルニットは『災害ユートピア』で、こうした現象が生じるのは、そもそも人々が「社会...
<コロナ恐慌を脱するために> 新型コロナウイルス感染が落ち着いたとして、その後の世界はどうなるか。大恐慌以来の不況、自国第一主義の広がり、社会の分断。悲観的な見方が広がっています。 今月号の特集は...
<「文化力の勝利」へ> 小説やエッセイを楽しんだ後、その一文に目が止まると思いの強さにいつも圧倒されます。〈第二次世界大戦の敗北は、軍事力の敗北であった以上に、私たちの若い文化力の敗退であった。私た...
<「21世紀の危機」と闘う> アルジェリアの都市で原因不明の熱病が発生し、外部から遮断されたなかで、医師ら市民が苦闘する。新型コロナウイルスの感染拡大は、カミュの代表作『ペスト』を連想させます。ペス...
<大災害が続く時代に> 東日本大震災のあと、ヴィクトール・E・フランクルの『夜と霧』がベストセラーに名を連ねたことがあります。ユダヤ人精神科医がナチス強制収容所での体験を綴った書です。多くの人が亡く...
<受験生をふりまわすな!> 共通一次テストや偏差値で鍛えられた人々にはロマンがない――。中曽根首相は1984年2月の国会答弁でこう述べました。偏見を感じますが、さすがと思わせるのは共通一次の問題を自ら...
<2050年の世界を人口学から読み解く> 和服姿のオバマ米大統領、かんざしを挿したメルケル独首相。富士山を背にする両首脳の風刺画に「日本化」のタイトルを掲げたのは、2011年7月の英誌『エコノミスト...
<国語に文学は要らない?> 三島由紀夫は東大卒業後、大蔵省に9ヵ月ほど勤務しました。「蔵相就任の想ひ出――ボクは大蔵大臣」という文章に大臣の演説原稿を書いた話を記しています。「淡谷のり子さんや笠置シ...
<日韓対立を乗り越えるには> 「20世紀の遺産は、ここで清算をしなければなりません」。1998年10月、小渕恵三首相との会談を終えた韓国の金大中大統領は、記者会見でこう語りました。20世紀に起きた問題...
<日本が科学立国であり続けるために> 中国発の世界的ベストセラー、劉慈欣さんの長編SF小説『三体』が日本でも翻訳され、人気を集めています。ある登場人物が部下たちにこう語る場面があります。<すなわち、...
<戦争を防ぐために、軍事を考える> 敗戦からまだ13年、ヘイトスピーチめいた発言に共感する人もいたのでしょうか。大江健三郎氏は1958年6月25日の毎日新聞夕刊にこう書きました。。その前年、防衛大学...
<英語コンプレックスを克服するには> ワープロが普及し始めた1980年代半ば、通っていた高校にはまだ和文タイプライターがありました。ベテラン教師は「就職に有利だから授業で使い方を教えたこともあったけ...
<人生100年時代の働き方は?> 江戸時代後期、実測による初の日本地図を作った伊能忠敬は、実業家として成功した後、49歳で隠居し、50歳のときに天文学や暦学を学び始めました。先生は19歳も年下でした...
<労働開国にどう向き合うか> 13歳で米国に留学し、英語のわからぬまま、書類にサインをしてしまう。学問ができると喜んでいたのに、勤め先の主人は、「お前の身体(からだ)は、三年間は金を出して買ってある...
2019年5月号【編集長から】 <令和へ 象徴天皇制を考える> 明治政府は天皇に対し、公に相聞歌を詠むことを禁じたといいます。文芸評論家の亀井勝一郎は、相聞歌の消滅を「万葉以来の伝統からみると異常の...
<AI時代、文系・理系にとらわれない教育を> 先日亡くなった橋本治さんに『福沢諭吉の「学問のすゝめ」』(幻冬舎)という作品があります。この明治初期の大ベストセラーが再び読まれたのは、日本の敗戦後だっ...
<ハーバードから見た日本の姿は> 今月号の連載「農業の未来を考える」は、福田康夫元首相に登場いただきました。福田元首相は、エール大学教授・朝河貫一が1909年に著した『日本の禍機』を愛読書に挙げます...
<平成の先へ 日本の歴史を考える> <去年今年貫く棒の如きもの>。高浜虚子がこう詠んだのは、昭和25年12月20日のことです。当時76歳。敗戦から5年後の慌ただしい年の瀬、来し方行く末に思いをはせたの...
<宗教をより深く知るために> 漂泊の歌人、西行法師が伊勢神宮を参拝した折に詠んだと伝えられる歌があります。<何事のおはしますをば知らねどもかたじけなさに涙こぼるる>。よく理解しているわけではないが、...
<リーダーのあり方を世界史に学ぶ> 「小泉というのは一度言い出したら聞かないと言われているが、必ずしもそうじゃない」。就任1年目の小泉首相は靖国神社に参拝した後、こう語りました。終戦記念日の参拝を公約...
<新しい冷戦、日本の役割は?> 日本から米国への集中豪雨的輸出が問題視されていた時代です。ロンドンで開かれた1977年の先進国首脳会議で、福田赳夫首相は「現在、世界が抱えている経済的な困難は、30年代...