2014年3月号【編集後記】
★去年の大晦日。話題の紅白も観ず、古いカセットテープを引っ張り出し、大瀧詠一氏を独り追悼。ナイアガラ色に染まった身体で床に入ると、先に寝ていた子どもの様子がおかしい。 全身を掻きむしり、咳が止まらず、...
★去年の大晦日。話題の紅白も観ず、古いカセットテープを引っ張り出し、大瀧詠一氏を独り追悼。ナイアガラ色に染まった身体で床に入ると、先に寝ていた子どもの様子がおかしい。 全身を掻きむしり、咳が止まらず、...
★二〇一三年の「今年の漢字」に選ばれたのは「輪」でした。年末、部員たちに「今年の自分を漢字一字で表したら」と聞くと、返ってきた答えは「惑」「転」「拍」「変」「違」。 「拍」とか「違」って、一体何があっ...
★門脇神父と加賀先生の対談のために上智大学を訪れたのは11月半ば。創立百周年を迎え、またザビエルウイークを控え、活気に満ちたキャンパスの一角に、その静謐な空間はあった。クルトゥルハイム聖堂。 玄関脇に...
★「昭和三十四年九月二十六日、この日潮岬西方より紀伊半島に上陸した......いわゆる伊勢湾台風がこれである」。山口百恵主演のテレビドラマ「赤い運命」の冒頭ナレーション。 画面に映る暴風雨と凄まじい被...
★この一ヵ月、めまぐるしい展開を見せたシリア情勢。アメリカの軍事介入が遠のき、化学兵器管理で合意すれば平和が訪れるわけではもちろんない。死者が一〇万人を超えたと言われる内戦はいまも続いている。 座談会...
★夏になると、会社地下の冷房の効いた資料室に足を運ぶ回数が増える。涼を取るのはもちろん、もう一つのお目当ては本誌のバックナンバー。創刊からのすべての号が揃っている。 ★八月は特に、昭和初期から十九年に...
★先月号の橋本治さんの「マンション管理組合理事長騒動記」には、多くの方から「身につまされる話だった」との感想をいただいた。七月に連日報道された山口県周南市の事件も、その発端は「近所付き合い」だったよう...
★「風が吹いた」とは、ある政党が選挙で予想外の大量議席を得たときに使われるフレーズだが、先の衆院選では自民党に風は吹かずとも、逆風をくらった民主党が大惨敗、いまだ党勢回復ならず。 「台風の目」だった維...
★座談会の直前、出席者の某氏と野球談義。「調子がいいならいいで、いつ急落するかと心配なのが、我々とアベノミクスの共通点ですねぇ」。 毎年シーズンオフのたびに勃発する「お家騒動」、期待はずれの助っ人たち...
一勝三敗一分。苦戦とみるか、善戦とみるか。人間対コンピュータ、将棋「電王戦」の第二ラウンドが行われた。作家の大崎善生さんは、そばで観戦していてコンピュータの手に感動したとすれば、それは演算の領域を超え...
★三月から四月にかけては人事の季節です。当編集部でも選手交代が行われます。★私自身、この編集部は三度目の配属です。それぞれ異動直後に「ソ連邦崩壊」「9・11」「3・11」が起こり、のっけからフル稼働。...
★新幹線を新神戸で降り、東日本大震災の復興について伺うために、五百旗頭真先生を訪ねる。その道は途中から、一八年前に歩いた道と重なる。ひどい砂塵でマスク無しでは歩けなかったな。全員無事です ××公園にい...
★小学校低学年の頃、放課後はいつも上級生に交じって遊んでいた。たいていは近所の空き地での野球。しかし貧打鈍足の下級生を、どちらのチームも引き取りたがらない。 そこで下された裁断は「万年キャッチャー」。...
★対談や座談会の数日後に速記会社から分厚い速記録が送られてくる。それに朱を入れ、あるいは原稿用紙に一からまとめ直し、出席者のお宅に届け、もしくは速達で送り、内容をチェックしてもらう。 パソコンやボイス...
★エネルギー小国なのも、財政状況が悪いのも、自由貿易に活路を見出すしかないのも、自明のこと。 であれば、そんなに広くはない幅の中で、現実的な選択肢がいくつかある、そうあってほしいものだが、現在の多党乱...
★治安や失業率はそれほど悪くない。年金、生活保護も今のところは機能している。「心地よさ」に浸りながらも、しかし人々は満足せず、大きな「変革」を求める。 「少しずつ実現されている微調整を正しく認めてそれ...
★ここしばらく、リーダー論がにぎやかだ。必要な資質は決断力だ、いや協調性だ、と。しかし政治でもビジネスでも、リーダー自身の個性や人格以上に、大事を成し遂げるための適材適所を実行できるか否かが、もっとも...
★李明博の竹島上陸に、香港の活動家たちの尖閣上陸。日本を舐めきったかのような動きに憤るも、五輪ではあるまいしナショナリズムを煽り合っても仕方がない。「短兵急な強硬論では意味がない」(鈴木美勝氏)のであ...
★二月に天皇陛下の心臓手術を執刀した天野篤先生と、アントニオ猪木さんの"異種格闘対談"。猪木ワールドにどっぷり浸ったあとの締めはもちろん「一、二、三、ダァー」。 プレセントされた赤いマフラーを首に巻き...
★小学四年のとき祖父が亡くなり、遺品整理についていった。大人たちが忙しく立ち働くなか、せしめた戦利品は顕微鏡と少しの本。そのうちの一冊が、中央公論社との最初の接点となった。 ビニールカバーのかかった中...
★新入幕の佐藤山が、師でもある古豪御厨川を突き押しで土俵際まで追い詰める。御厨川は、いなし、はたき、張り手を見舞い、三十七歳下の佐藤山を翻弄。大相撲となったこの一番の行方は。 ビニールカバーのかかった...
★国の代表として、無様な姿は見せられない。ときには正攻法で渡り合い、ときにはブラフをかけ、相手を揺さぶる。一瞬の油断が命取りになる。決断力、判断力、胆力、体力......メンバー全員に高いスキルが要求...
★今の日本政治を語る上で、避けて通れないのが橋下徹という存在。「ハシズム」と批判されたり、「改革者」と持ち上げられたり。戦争、罰、服従などのメタファーを駆使し、「直面型、攻撃型のスタイルで勇猛果敢に不...
★ある出来事が人にどれだけのストレスを与えるかを示す「ストレス点数表」なるものがある。「配偶者の死」「離婚」などが上位に来るのは当然だが、「単身赴任」「引っ越し」といった、住環境の変化も大きな負荷要因...