
2023年3月号【編集長から】
★「消防署の方から来ました」と偽の制服姿でやってきて、高額な警報器類を売りつける。公権力をにおわせて金を騙し取る手口は「かたり商法」と呼ばれ、被害が後を絶たない。 ★安倍晋三元首相が昨年7月に非業の死...
★「消防署の方から来ました」と偽の制服姿でやってきて、高額な警報器類を売りつける。公権力をにおわせて金を騙し取る手口は「かたり商法」と呼ばれ、被害が後を絶たない。 ★安倍晋三元首相が昨年7月に非業の死...
★昨年末、広島に行く機会があった。原爆投下の3日後に運行を一部再開して復興のシンボルとなった路面電車に乗り、被爆の実相を伝える広島平和記念資料館の展示、かつての町並みや生活様式がうかがえる被爆遺構など...
★サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で日本が強豪ドイツに逆転勝利したのは、監督の思い切った戦術変更と選手交代が功を奏したことが大きい。これが中国のような巨大国家の運営となると、トップがいった...
★マイホーム用に購入した千葉県内の土地の草刈りに出かけた父が、警察官に職務質問された。50年近く前の話で、当時は東京、千葉、埼玉の首都圏で女性が殺される事件が相次いでおり、鎌を手に住宅街を歩く男はさぞ...
★イギリスのエリザベス女王の国葬を中継で見ていたら、街中を通過する棺や、それを映し出す広場の大画面に向かって、市民が盛んに拍手や歓声を送っていた。お国柄の違いに最初はぎょっとしたが、亡くなる2日前まで...
★アメリカ大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手がスタジアム最深部にホームランを放つと、実況アナウンサーは「デッドセンター(ど真ん中)!」と絶叫する。同じ言葉を政治に用いれば、左と右のいがみ合いが高じて中...
★安倍元首相の通算在任期間は約8年8ヵ月で、長さだけで比較すれば、任期が2期8年までと決められて以降の米国の歴代大統領を上回る。訃報は瞬く間に世界を駆け巡り、米国では現地の7月8日朝から、バイデン大統...
★羊肉の串焼き、ザリガニ、アヒルの血を固めた「鴨血(ヤーシュエ)」の火鍋など、中国本土で人気の郷土料理をそのまま提供する店が最近、東京や近郊で増えている。日本人向けにアレンジされていない中華料理は「ガ...
★東京メトロはかつて営団地下鉄と呼ばれていました。当時の正式名称は「帝都高速度交通営団」です。大日本帝国の帝都。反発を感じる人もいたでしょうが、私は歴史の重みが伝わるこの名前が好きでした。歴史や小説に...
★認知症で入院していた母とは毎週末、病院の面会室でポテトチップスを食べていました。病院食に飽きた母の食欲は旺盛で、二人で黙々と食べ続け、毎回3袋は空にしました。食べている間は「いつ家に帰れる」と聞かれ...
連日、新聞やテレビでウクライナ情勢が伝えられています。ロシア軍の容赦のない空爆、侵攻する軍事車両。廃墟となった集合住宅、国外へ避難するウクライナ国民。ロシアの正義を訴えるプーチン大統領。暴挙を非難す...
2月24日、ロシアがウクライナに軍事侵攻しました。許されない暴挙です。緊張が高まる中で、欧米各国は事態の鎮静化を目指して外交活動を展開。「ロシアは踏みとどまるのでは」との期待もありましたが、核までちら...
「親ガチャ」という言葉には、反発の声をよく耳にします。「努力不足を親のせいにするな」「親にはまず感謝せよ」。私もそうでした。経済成長が続いた昭和時代は、放っておいても親世代より豊かになれました。子供...
今月号の巻頭特集は大学です。コロナ禍の2年間、各大学は智恵を絞り、さまざまな工夫をこらして学生たちに対応してきました。感染症対策として導入したリモート授業は、その活用場所を広げ、海外との新たな交流促...
「君はいつも鼻が出てるねえ」。上司にそう言われたのはもう1年以上前のこと。あの頃は、いつまでたってもマスクに慣れず、気がつくと鼻を出して呼吸していました。それが今では鼻まできちんとマスクで覆い、帰宅...
日本で活躍する外国出身者がもっと増えて欲しいと思っています。グローバル化とか共生社会とか、そんな堅苦しい文脈で考えているわけではありませんが、海外の才能にとって日本が活躍したい場所であり、それを提供...
炭治郎は確かによくしゃべっていました。10月号に掲載した「2010年代ヒット漫画の饒舌と沈黙」で、著者の谷川嘉浩さんは大ヒット漫画『鬼滅の刃』を取り上げ、主人公が「感情や思考、体の状態を逐一報告して...
20年ほど前、政治家の同行取材で北京に行ったときのこと。滞在中はずっと中国共産党中央対外連絡部の男女二人が取材団と一緒でした。案内兼監視役といったところでしょう。女性はまだ20代、男性は30過ぎぐら...
「昼に家で飯を食って、また松根油を取りに山に行こうとしたら、親父に『もう行かなくていいぞ』と言われたんだ」。父の8月15日の記憶です。母は上空をB29が通過するたびに友達と「今に見ていろB29」と叫ん...
今月の特集は「教養と自己啓発の深い溝」でした。教養と自己啓発のどちらが上でどちらが下かというつもりはありません。いずれも生きて行く上で大事な学びでしょう。一方でともにどこか捉えどころのない言葉でもあ...
新型コロナウイルスワクチンの大規模接種が東京、大阪で始まりました。東京の会場となった大手町合同庁舎は中央公論新社からほんの数分の距離にあります。高層ビルが林立する大手町で、ひときわ古ぼけたビルがこれ...
四月十四日午後、ネットの生中継を見守っていた社員らの拍手と歓声が、弊社フロアに響きわたりました。町田その子さんの『52ヘルツのクジラたち』(中央公論新社)が本屋大賞の一位を受賞。私自身は全く関わって...
仲間内で雑談をしているときに、陰謀論者が一人いると話が大いに盛り上がります。なんてことはない出来事に人間関係や権力闘争を上手にからめ、事実関係をすべて知っていても思わず引き込まれてしまうような、壮...
永田町には座談の名手がごろごろいます。特に古い世代の政治家に多いように思います。国会ではぱっとしない人でも、地元の公民館で開く小集会では、政界の裏話や自虐ネタ、武勇伝も織り交ぜてがんがん笑いを取る。...