2024年12月号【編集長から】
★よく響く低い声が特徴だった父。母を亡くして会話が減った影響か、声が掠れて聞こえづらくなりました。こちらが話しかけても返答まで時間がかかるように。そんな様子を心配した妹が、父に犬のぬいぐるみを贈りまし...
★よく響く低い声が特徴だった父。母を亡くして会話が減った影響か、声が掠れて聞こえづらくなりました。こちらが話しかけても返答まで時間がかかるように。そんな様子を心配した妹が、父に犬のぬいぐるみを贈りまし...
★小社刊行の中公新書で人気ジャンルといえば「歴史」。60年前の創刊初期にも『宦官』『科挙』といった名作が出版されており、人気は不変です。近年で印象的だったのは呉座勇一さんの『応仁の乱』の大ヒットとその...
★卒業まで半年ほどとなった大学4年生終盤のこと。学生生活が残り少なくなったことに焦燥感を覚え、一足先に故郷で就職していた友人に、今のうちに何をしておくべきか尋ねました。電話口の彼はのんびりとした口調で...
★今年、故郷広島に新たな名所が生まれました。エディオンピースウイング広島。Jリーグ、サンフレッチェ広島の本拠地は「まちなかスタジアム」を謳い、繁華街の紙屋町からも徒歩圏内の至便な立地です。ピッチと観客...
★子どもが生まれ「共働き・共育て」生活に突入して変化したことはたくさんありましたが、一つが「家庭に"事務"が侵食してきたこと」でした。自治体に提出すべき申請書類や、保育園や学校から配られるプリントでリ...
★映画『パーフェクト・デイズ』で役所広司演じるトイレ清掃員が、東京・渋谷に実在する「透明トイレ」の使い方を外国人女性に尋ねられる場面がある。ガラス張りの見た目には誰しも戸惑うが、中が清潔かどうか、怪し...
★福島県の復興に携わる友人の案内で4月初め、浜通りと呼ばれる太平洋沿いの県東部を訪れた。地元で水揚げされたメヒカリなどの「常磐もの」や、見頃を迎えた桜を堪能しつつ、東日本大震災と東京電力福島第一原発事...
★自民党を取材していて、派閥の分裂劇を目の当たりにしたことがある。加藤紘一元幹事長が与党にもかかわらず森喜朗内閣に対する不信任決議案に賛成しようとした2000年の「加藤の乱」が不発に終わったことで、加...
★編集者は著者を支え、雑誌や書籍の刊行に向けて進行を管理する裏方である。黒子に徹するのが美徳だと思ってきたが、一体の人形を三人がかりで操る文楽では、頭と右手を操作する「主遣(おもづか)い」が頭巾や黒装...
★インド映画『きっと、うまくいく』は、過酷な受験戦争と競争社会を象徴するエリート工科大学で、自分らしさを貫く自由人ランチョーを親友2人が回想する物語。教科書通りの答えに疑問を呈し、学長に目を付けられて...
★10年前、『中央公論』の人口減に関する座談会に登壇し、「独身の僕が一番肩身が狭い」とやや控えめだった小泉進次郎氏が、今号のインタビューでは二児の父として育児と政治活動の二兎を追う日々の喜びと悩みを大...
★昭和のアニメ「母をたずねて三千里」は、9歳のマルコ少年が、イタリアからアルゼンチンに出稼ぎに行ったまま帰らぬ母親を捜し求めて旅する物語である。子どもの頃、テレビの前で何度も泣いた。舞台となった19世...
★4年ぶりに訪れた北京は一年で最も過ごしやすく美しい「金秋十月」の季節を迎えていた。日中は雲一つない青空の下、薄手のシャツ一枚でちょうどいい。長安街を歩くと2両連結の路線バスが停留所に音もなく滑り込ん...
★政治家や官僚がよく使う片仮名語に「コミットメント」がある。岸田文雄首相は9月に国連総会で演説した際、多国間主義に「コミットしよう」などと2度言及し、公式文書にも説明抜きで使われている。日本のメディア...
★ドラえもんの「ほんやくコンニャク」が現実になりつつある。外国人旅行者がよく訪れる店では、翻訳アプリを搭載したスマホや自動翻訳機を手にした店員が、対応する言語を選んで商品の説明をしている。駅の窓口では...
★ロシアと中国で、世界的に知られた人物が相次いで表舞台から消えた。6月下旬にロシアで反乱を起こした民間軍事会社ワグネルの創設者、エフゲニー・プリゴジン氏と、中国で外相と副首相級の国務委員を兼ねていた秦...
★天気の良い休日には、シェア自転車をよく利用する。スマートフォンのアプリを使ってポート(駐輪場)にある共用自転車を解錠し、目的地まで乗ったら別のポートに返却できる手軽さがいい。4月に改正道路交通法が施...
★安倍晋三元首相はトランプが好きだった。そう聞いて一瞬、アメリカの前大統領の顔が浮かんだが、さにあらず。政治家になる前の若い時分にポーカーを嗜み、「運が支配する騙し合いが面白い」と話していたと、安倍氏...
★コロナ禍では「ステイホーム」「自粛警察」など様々な標語や造語を耳にしたが、「デスク爆弾(desk-bombing)」という言葉を知った時の衝撃は忘れられない。英紙『フィナンシャル・タイムズ』に昨年秋...
★女ざかりは何歳までか。いや、その設問自体がくだらない。アジア系俳優として初めてアカデミー賞主演女優賞を受賞したマレーシア出身のミシェル・ヨーさんを見ていてそう思った。3月の授賞式のスピーチで、60歳...
★漫画家の松本零士さんの代表作『銀河鉄道999(スリーナイン)』では、機械人間や人工頭脳が支配する未来を、生身の少年が蒸気機関車に乗って旅をする。機械と人間、未来と過去が交錯する壮大な物語に魅せられ、...
★「消防署の方から来ました」と偽の制服姿でやってきて、高額な警報器類を売りつける。公権力をにおわせて金を騙し取る手口は「かたり商法」と呼ばれ、被害が後を絶たない。 ★安倍晋三元首相が昨年7月に非業の死...
★昨年末、広島に行く機会があった。原爆投下の3日後に運行を一部再開して復興のシンボルとなった路面電車に乗り、被爆の実相を伝える広島平和記念資料館の展示、かつての町並みや生活様式がうかがえる被爆遺構など...
★サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で日本が強豪ドイツに逆転勝利したのは、監督の思い切った戦術変更と選手交代が功を奏したことが大きい。これが中国のような巨大国家の運営となると、トップがいった...